画像シリアル転送にみるPCI-Expressの活用法 ー その4
技術部 村田英孝
 
『GiGA CHANNEL Module APX-740』詳細
 

 『GiGA CHANNEL Module APX-740』の内部ブロック図を図9に示します。APX-740ではPCI Expressのインターフェイスとしてインテル社製『41210』を使用しています。『41210』はPCI ExpressからPCI-Xへブリッジするデバイスとなっており、PCI-X (133MHz/64bit)バスがFPGAのインターフェイスとして使用されています。PCI Expressからのデータは2つのFPGAを介して3.125Gbps x2チャンネルの光通信部から外部へ送信されます。光通信部にはファイバーチャネル準拠の光モジュール『AFBR-57R5AP』(アジレントテクノロジー社製)を使用しオリジナルプロトコルによる通信を行います。パケットの生成及び解析はハードウェア処理(FPGA)となりますので、ユーザはPCI Expressのメモリ空間へアクセスする要領でボード間の通信が可能となります。

 
PCI Express周辺の回路
 
図10にPCI Express周辺の回路図を示します。PCI Express ×8ですのでコネクタから『41210』までの間は差動信号16対で接続されています。基板設計仕様(抜粋)が表6となります。PCI Expressの仕様とデバイスのデザインルールを考慮し、主にインピーダンスコントロールと配線長に関して規定をしています。基板外形とアドインカードのカードエッジ(コネクタ)部分は図11の様になっています。また実際の基板写真を図12に示します。

図10:PCI Express周辺回路

図11:PCI Express
基板外形寸法


図12(a):PCI Express
カードエッジ部分


図12b:APX-740基板全体

 
表6(1) PCI Express周辺の基板層構成
信号
L1
部品面
PCI Express(受信)
L2
内層
GND
L3
内層
+5V
L4
内層
GND
L5
内層
GND
L6
内層
+5V
L7
内層
GND
L8
半田面
PCI Express(送信)
 
表6(2) PCI Expressの配線ルール
インピーダンス
コントロール
差動:100Ω±20%(シングルエンド:60Ω)  
等長 ペア(+と-):0.127mm以下、レーン※:50.8mm以下 受信と送信の間は問わない
配線長 90mm以下  
Via数 0個(受信),1個(送信)
ただし、ペアのVia位置は等しくなるようにしてください。
 
他の信号との距離 同じ方向の信号:1.02mm以上
異なる方向の信号:0.56mm以上
PCI Express以外:0.64mm以上
ペア(+と-)間は除く
 
APX-740今後の課題
 

本ボードはホストバスとしてPCI Express x8ではありますが内部バスがPCI-X133MHz/64bitとなっているためx8の帯域をフルに活用する事が出来ません。設計当初はデバイスの選択肢がありませんでしたが、今後の設計ではPCIExpress PHYチップなどを活用した、PCIExpressの帯域を生かせる回路構成の検討が必要です。
また通信部分も1チャンネルあたり3.125Gbpsとなっていますが、Virtex4やStratixGXを使用する事により更なる高速化が必要と考えています。

 
その他補足資料
 

■PCI Expressを実現できるFPGAについて
最近のFPGAではGbpsクラスの高速シリアルインターフェイスを内蔵するデバイスが多数存在します。
代表的なものとしてXILINX社製『VirtexPro』,『Virtex4』やALTERA社製『StratixGX』,『StratixGX』などが挙げられます。これらのデバイスを用いて1チップでPCI Expressを実現するために各メーカからIPが販売されています。高速シリアルインターフェイスを内蔵していないFPGAでもPCI Express PHYチップと組み合わせる事で実現可能です。どのような手法で実現するか迷うところですが、FPGAメーカとPHYチップメーカが協力する内容のニュースをよく見かける現状から、今後PHYチップとの組み合わせが主流ではないかと考えています。

   
  ■6.25Gbps光通信路について
ファイバーチャネル準拠の物理層を用い、1チャンネルあたり3.125Gbpsを2チャンネル使用して合計6.25Gbpsの通信路を実現しています。ファイバーチャネルは4Gbpsが主流になりつつあり、1世代前の2Gbpsの物と比べても比較的安価に光モジュールを入手できるようになってきました。本来であれば1チャンネルあたり4.25Gbpsで動作させたいところですが、FPGAの仕様により3.125Gbpsに留めて使用しています。
 
おわりに
 

CPUの処理能力は向上していますが、CPU周辺に接続されるIO系のデバイスとのデータ通信に限界が生じ、PCI Expressなどのシリアル接続に移行されます。 次世代高性能サーバ向けメモリも、メモリコントローラとDIMM間をシリアル接続するFB−DIMM(Fully Buffered DIMM)が登場しています。 今までは、ケーブルの省配線が主目的であったシリアル接続が、ボード内の省配線化と超高速データ転送への伝送路として注目され適用範囲が広がりつつあります。今後、PCI Expressも含めシリアル化が進み、それを実現させるデバイスも数多くリリースされ、設計者は注目して行く必要があります。

 

  『参考文献』
 

・ PCI Express Base Specification Revision1.0a
・ PCI Express Electromechanical Specification Revision 1.0a
・ PCI-X Electrical and Mechanical Addendum to the PCI Local Bus Specification Revision 2.0a
・ Interface 2003年 7月号『高速バスシステムの徹底研究』
・ Interface 2004年 1月号『基礎からわかるPCI&PCI-X活用技法』図研セミナ
・ Design Wave Magazine2005年5月号 別冊付録『ギガビット伝送技術ガイド』
・ 株式会社PALTEK『PCI-ExpressソリューションセミナVer1.0』

 
本稿は画像ラボ2006年7月号に掲載されました。
 
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